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2018/11/1

「手段の目的化」から考えること

最近、良く考えることがあります。それは「手段の目的化」についてです。

例えば、会議。
システム開発をより効率的に行うために「開発効率化会議」なるものを始めたとします。 当初は、皆が目的意識を持って参加し、参加者からは、作業の効率化のためのツール作成やツール適用の提案が出たり、管理や報告のムダを省くような指摘がでたり、さらには人材の育成についても考えてみたりと、とても実のある会議になります。 しかし、回を重ねていくと、なかなか新しい案も出なくなります。そうすると、会議は開催されるものの、取り留めもない雑談めいた話ばかりで、実のある議論ができなくなります。

ここで考えたいのは、この会議をこのまま継続するかどうかです。 このような状態であれば、この会議は一旦その役割を終えても良いかもしれません。 しかし、一度始めた会議はなかなか終わることができず、次第に「会議を開催すること」が目的にすり替わってしまいます。手段が目的化した結果です。 会議は、「開発の効率化を考えるための手段」であったはずですが、「会議を開催すること」が目的になってしまうのです。このような例は、定例会議ではよくある話だと思います。

例えば、オフショア企業の活用。 開発生産性を上げるために、オフショア企業を活用するとします。上手く活用できれば、目的を達成するための良い手段になります。 しかし、会社の上層部から開発現場に対して「外注費に対するオフショア発注比率」や「開発工数に対するオフショア割合」のような数値目標が指示されると、その途端に「オフショアを使うこと」が目的になってしまい、開発するシステムの特性や顧客の特徴に目を向けず、「単にオフショアを使うこと」に一生懸命になりがちです。その結果、QCDの観点で失敗プロジェクトに陥るケースが多々あります。これも、オフショア活用という手段が、オフショアを使うという目的にすり替わった結果です。

なぜこのようなことが起きるのか? それは、目的(本質)を見失ってしまうからだと思います。原因は色々あると思いますが、主に考えられるのは次のようなものです。

・それをすることの目的が正しく共有、理解されていない
・手段が、定型化、形骸化して本来の目的が忘れ去られる
・やらされ感による行動で、主体性がない

このような状態に陥らないためには、どうすれば良いのか? 実は、案外簡単なことではないかと思っています。

「なぜそれをするのか?」

これを常に念頭においておけば良いのだと思います。

・なぜこの会議が開催されているのか?
・なぜこの報告をしなければならないのか?
・なぜこの数字を管理しているのか?
・なぜオフショア企業を活用するのか?

なぜ? なぜ? なぜ? です。
この「なぜ?」と自分に問いかけるクセを維持するコツは、視座(物事を見る、認識する上での立場)を一つ上げることではないかと思います。 我社で言えば、担当は主任の視座に、主任は課長の視座に、課長は部長の視座に、部長は役員の視座に、などです。これが出来れば、「なぜこれをするのか?」の目的を忘れにくくなり、手段が目的化するのを防ぐことができると思います。その結果として、一人ひとりの成長も加速されるのではないでしょうか。

・担当は、なぜ主任がこの報告を求めているのかを考える
・主任は、なぜ課長がこの数字を管理しているのかを考える
・課長は、なぜ部長がこの会議を開催しているのかを考える
・部長は、なぜ会社がオフショア企業を活用するのかを考える

手段の目的化に陥らないためには、とにかく考え続けることです。 「アタマつかえ」「もっと考えろ」と言うのは簡単ですが、脳ミソ使うことなのでとても疲れます。 でも考えることをやめたら、その人にも、その組織にも、その会社にも、その業界にも、その国にも、将来はないのかもしれません。

考えましょう。考え続けましょう。脳ミソ使い続けましょう!

代表取締役 長谷川 光洋

株式会社 鹿児島インサイト 代表取締役 長谷川光洋

略歴

1967年11月 埼玉県生まれ。少年時代を鹿児島県で過ごす。
1990年4月 NECに入社。通信事業者関連のシステム開発に従事し、大規模システムのインフラ基盤設計・構築を担当。その後、プロジェクトマネジメント業務に従事。
2002年7月 米国PMI(Project Management Institute)のPMP(Project Management Professional)を取得。
2004年9月 PMAJ(Project Management Association of Japan)のPMS(Project Management Specialist)を取得。
2008年7月 NECを退職。同年8月(株)クリマ・ソフト(本社東京)に入社。
2009年7月 (株)クリマ・ソフト鹿児島事業所の事業所長として約80名~100名体制で事業を推進。
2011年5月 (株)鹿児島クリマ(現KQRMホールディングス(株))の代表取締役を兼務。
2013年5月 (株)クリマ・ソフトを退社し、(株)鹿児島クリマの代表取締役に専従。
2017年12月 (株)鹿児島クリマの代表取締役を退任。
2018年2月 (株)鹿児島インサイトを設立、代表取締役に就任。

趣味はドライブと温泉めぐり。座右の銘は「精神一到何事か成らざらん」。

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